パスワード管理ソフトを、複数環境および複数端末からアクセスできるパスワード管理ソフトKeePassXCに引っ越ししました。その手順の一例を紹介します。
実行する際に作成するファイルのファイル名は適宜わかりやすいように変更してくださいね。
ざっくりとしたID ManagerからKeePassXCへの引っ越し手順
- ID Managerのcsvファイルをエクスポート
- 1.のcsvファイルを編集、文字コードをUTF-8に変更
- KeePassにインポートし、データベースを作る
- 3.で作ったデータベースをKeePassXCから読み込む
なぜID ManagerからKeePassXCに引っ越ししたのか?
ずっとID Managerを使用していたのですが、ID ManagerはWindows環境でしか使用できないこと、およびスマホから閲覧することができないので、いずれMac環境にしたい&スマホからも閲覧できるようにしたい私は、思い切って使うソフトの変更をしました。Windows、Mac、Linux、スマホのどこからでも使えるのが、KeePassXCでした。
ID Managerのcsvファイルをエクスポート
ID Managerを起動し、「ファイル」から「データのエクスポート」>「csvファイルへの書き込み」で、ID Managerに保存してあるデータをcsvファイル形式でエクスポートします。
エクスポートしたcsvファイルを編集
そのままの形ではKeePassXCにインポートできないので、まず、csvファイルを編集します。以下のフリーのcsvファイル編集ソフトが使いやすかったですので、使ってみてください。文字コードの変更もできます。
csvファイルの確認
まず、csvファイルの中身を確認します。データは、以下のようになっています。
A列:Folder or Item(フォルダまたはアイテム)
B列:Title(タイトル)
C列:Account ID Name(アカウントIDの名前)
D列:Account ID(アカウントID)
E列:PasswordName(パスワードの名前)
F列:Password(パスワード)
G列:ItemName1(アイテム1の名前)
H列:Item1(アイテム1)
I列:ItemName2(アイテム2の名前)
J列:Item2(アイテム2)
K列:URL
L列:e-mail(Eメール)
M列:File(ファイル)
N列:Comment(コメント)
O列:SerialNumber(シリアルナンバー)
A列にフォルダ名をコピー
CSVファイルのA列:Folder or Itemには、「 f 」または「 i 」が入っています。「 f 」が入っている行がフォルダのデータで、その下の行にそのフォルダに入っていた各アイテムのデータが、次の「 f 」の行まで続けて入っています。なので、「 f 」の行の「Title」列に入っているデータをコピーして、各アイテムのA列の「 i 」となっているセルに貼り付けていきます。
フォルダ行を削除
すべてのフォルダ名をコピーし終わったら、A列に「 f 」が入っている行(フォルダのデータ行)は要らなくなるので、行削除していきます。A列に「 f 」が入っている行の行番号をクリックして行を選択した状態にして、右クリックして[削除]で行が削除できます。
csvファイルの保存
ファイルの編集を保存します。文字コードをUTF-8で保存します。
KeePassにインポート
KeePassをダウンロードおよびインストール
この記事を書いている時点では2.50が最新です。「Portable (2.50):」をダウンロードして、画面の指示に従ってインストールをします。
KeePassにcsvファイルをインポート
- KeePassを起動して、「ファイル」>「インポート」をクリックします。
- 書式の中から「一般的なCSVインポーター」を選択して、「インポートするファイル」でID ManagerからエクスポートしたCSVファイルを選択して、[OK]ボタンをクリックします。
- 「エンコーディング」タブが表示されます。テキストエンコーディングは「UTF-8」に変更します。文字化けがなかったら、「次へ」ボタンをクリックします。
- 「構造」タブが表示されます。上部の「文法」部分は、そのままでOKです。「意味」の左側の「CSVファイルのレイアウト(フィールド、順序)を定義」を調整していきます。フィールドに「タイトル・ユーザ名・パスワード・URL・備考」が入っていますが、この部分をCSVファイルの列のデータと合わせないといけません。ID ManagerからエクスポートしたCSVファイルは、調整したあと最終的に以下のようになっています。
A列:Folder or Item(フォルダ名)
B列:Title(タイトル)
C列:Account ID Name(アカウントIDの名前)
D列:Account ID(アカウントID)
E列:PasswordName(パスワードの名前)
F列:Password(パスワード)
G列:ItemName1(アイテム1の名前)
H列:Item1(アイテム1)
I列:ItemName2(アイテム2の名前)
J列:Item2(アイテム2)
K列:URL
L列:e-mail(Eメール)
M列:File(ファイル)
N列:Comment(コメント)
O列:SerialNumber(シリアルナンバー)
- KeePass側のフィールドが、この並びと同じになるように変更していきます。CSVファイルの最初はA列:フォルダ名ですが、今フィールドに入っている5項目の中にフォルダ名がないので、右側の「フィールド追加」で追加します。「型」は、フォルダというフィールドがないので、代わりにフォルダに該当する「グループ」を選択して、「追加」ボタンをクリックします。
- 次のCSVファイルの3番目:C列「アカウントIDの名前」は、4番目:D列「アカウントID」の説明なので、KeePassにインポートしないデータです。(フィールドの「ユーザー名」に、D列「アカウントID」のデータが入ればいいので、C列「アカウントIDの名前」は不要ということです。)なので、フィールドの3番目は、右側の「フィールド追加」で「 (無視) 」を追加します。
- CSVファイルのA列~O列を、KeePassのフィールドに当てはめていきます。CSVファイルのN列:コメントは、フィールドの「備考」に該当します。1点工夫しなければいけないのは、CSVファイルにはH列:アイテム1、J列:アイテム2、L列:Eメール、M列:ファイル、O列:シリアルナンバーというKeePassのフィールドにない5つのデータがあり、これをどうするかということです。この5つのデータは、仕方がないのでKeePassの「備考」に入れることにします。
- 最終的に、KeePass側のフィールドは、以下のような並びになります。
A列:グループ
B列:タイトル
C列:(無視)
D列:ユーザー名
E列:(無視)
F列:パスワード
G列:備考
H列:備考
I列:備考
J列:備考
K列:URL
L列:(無視)
M列:(無視)
N列:備考
O列:(無視)
L・M・O列を使用していた人は、「 (無視) 」が「備考」になります。
- フィールドの並びができたら、下部の「次へ」ボタンをクリックします。
- 「プレビュー」タブが表示されます。適切にデータが割り当てられているか、内容を確認します。問題なければ、下部の「完了」ボタンをクリックすれば、KeePassへのインポートが完了します。最後にユーザー名を一通り確認しておいてください。ユーザー名が数字で桁数が多い場合、省略された形で登録されてしまいます。こうなってしまうのは、そんなにないと思いますので、ID Managerを開いてそこだけコピーして貼り付けておきましょう。
- 最後にKeePassで保存して、データベースを作成します。
KeePassで作成したデータベースをKeePassXCで読み込む
KeePassXCをダウンロードおよびインストールします。
KeePassXCを起動し、「ファイル」>「インポート」>「KeePassデータベース」を選び、先ほど作成したKeePassのデータベースを選択します。その後、KeePassXCでデータベースを保存します。KeePassXCのデータベースはオンラインストレージに保存すると、複数端末からアクセスすることが可能になります。